
◆なんで「青潟大学附属シリーズ」のいただきものに、なぜ「馬」が?そう思われる方もたくさんいらっしゃいますよね。
いろんなところで書いているのでご存知の方もいらっしゃられると思うのですが、この黒いのか灰色なのかよくわからない馬、この馬と出会っていなかったら、「葉月の流星」は存在していなかった可能性大なんです。この「京都大賞典」というGUレースは当時皐月賞馬として夏を越え、秋に古馬との初対決、という気合入りまくりモードの中行なわれました。レース結果を見ると、セイウンスカイが一気の気持ちいい逃げをやらかした後、首差?かな?古馬かつその年春の天皇賞馬メジロブライトに勝つという、なかなか胃の痛くなるようなフィニッシュをやってくれましたね。その後、セイウンスカイは同じ京都競馬場で行なわれた菊花賞(GT)で同じような先頭逃げまくりをやってのけ、見事菊花賞馬、その年の二冠馬になってくださいました。
……そういえば、明日は菊花賞なんだなあ……。この文章書いているのは、2004年10月23日です。
セイウンスカイはその後、GTを手にすることはできませんでしたが、相変わらず逃げを打ちまくり時々やんちゃをやらかしたりして、ファンをはらはらさせてくれました。二回くらい、私も応援にいきましたよ。函館から深夜バスで札幌に向かい朝六時前後から指定席取るために並んだ札幌記念(確かセイウンスカイが一着で二着がファレノプシス)、中山競馬場だったかな?生まれて初めて競馬関連のオフ会に参加した日経賞。(あの時、お世話になったみなさまお元気でしょうか。特に「セイウンスカイ教」のみなさま、あの時はありがとう!)それまでは競馬イコールテレビ観戦のみ、という私にとって、初めて外でお馬さまやファンに触れ合うきっかけとなった馬がセイウンスカイでした。そして、セイウンスカイのファンサイトをもっと見つけたい、という理由でネットデビューをあせっていたというのもあったなあ。セイウンスカイ追っかけしていたあの頃が一番、お馬系として楽しく活動していた時期だったなって、懐かしく思い出します。
セイウンスカイが引退を決めた年、私は私なりにどうしても、この馬へのお礼の何かを残したいと思っていました。
良く覗いていたセイウンスカイサイトさんでも、いろいろとお礼の文章、イラスト、いろいろな記念のものを用意されてましたし。
いろいろ読んで、心打たれているうちに、いつのまにか私の中でひとつのイメージが湧きました。
当時、「青潟大学附属シリーズ」ではまだ「水無月の夕立」を書いている頃だったかと思います。「めくれぬあとがき」を書き上げた後、予定としては以前書き上げていた長編小説をそのまま打ち込もうと考えておりました。その物語内には美里、貴史、上総、雅弘、乙彦……このあたりはもちろん出てくるのですが、南雲を始めとする登場人物は影も形もなかったんです。ビデオで撮り溜めたセイウンスカイの勇姿……皐月賞・日経賞・京都大賞典、そして菊花賞、その次の年「ゲートいやいや事件」をやらかし肝を冷やした秋の天皇賞。繰り返し見つめているうちに、どことなく凛々しい少年、すがすがしく、心をすうっと浄化してくれるような、まさにセイウンスカイがその走る姿によって私に与えてくれた感情、そういうものが浮かんできたのです。まだ混沌とした中、迷いつづける上総の背をそっと支えてくれるようなひとりの少年像が浮かびました。貴史ではちょっときついかな、と思っていた展開の中で、その少年をいつのまにか私は書いていました。人間としての形ではなくて、気持ちよく淀のターフを逃げまくっているセイウンスカイの姿を思い浮かべながら。
セイウンスカイのイメージで南雲秋世という登場人物が生まれ、青大附属シリーズはだんだん私の予想していた方向から外れていきました。
最初から路が出来上がっていたものを綴るのではなく、ただ思いついたものを直感で写し取っていくといえばいいんでしょうか。
南雲秋世という、全くの新登場人物が現れたことによって、今まで自分の中に押さえつけていたたくさんの登場人物たちがわれよわれよという感じで顔を出し始めました。奈良岡彰子も、杉本梨南も、新井林健吾も、その他たくさんの登場人物も。
だからセイウンスカイのためにどうしても、もう一作、私は物語を書きたかったのです。セイウンスカイから得たたくさんの思い出と浄化された感情のために。
それが「葉月の流星」でした。
もちろんストーリーには全く競馬の匂いなんてありません。私がセイウンスカイの記憶を残したのはほんの少しだけです。立村上総と南雲秋世がホテルの部屋でベットに横たわりつつ語りつづける場面。あそこだけです。もちろんそんなの感じてもらう必要はないし、私の自己満足として勝手に封印しておけばいいんです。ただ、せっかくいただいたセイウンスカイの写真を見ているうちに、つい綴りたくなってしまいました。
擬人化嫌いなみなさま、ごめんね。でも今だけはちょこっとだけ許してくださいませ。
セイウンスカイは私にとって、青潟大学附属シリーズにおいても、私の人生においても、大きな分岐点をこしらえてくれた馬でした。
ありがとう、セイウンスカイ。私はあなたのおかげで、確かに救われたんだよ。物語を書く力を与えてもらえたんだよ。
と、いうことで、このお写真をプレゼントしてくださった空露澪さま、ありがとうございました!
◆とらぶるめーかーず◆さまへ