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〜青潟大学附属シリーズ・二次創作小説〜
芙蓉 雅作
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12
──しっかし、鼻血がとまらん。まあ、あいつに鼻血ブーなところを見られなかったのだけは、不幸中の幸いといったところかもしれない。
俺はティッシュを千切ってつっぺをかうと、首の後ろのあたりを手のひらでとんとんと叩いた。こうすると鼻血が早くとまると、小さい頃ばあちゃんが言ってたからだ。ほんとか嘘かはわからんけど。
「あんた、こんなところで一体なにしてるわけ?」
突然ドアが開いて、近江が姿を見せた。多分あいつがさっきあったことを話して聞かせたんだろうと、そう思った。
「まさかとは思うけど、ゆいちゃんのスカートの中に手を突っ込んだりとかしてないでしょうね? 一体、鼻血のでるような何を彼女に対してしたわけ?」
白状しろ、とばかりに居丈高に近江はふんぞり返っている。もしかしたらある意味、性格が似てるんじゃなかろうか、近江とあいつって。
「べつに、なんもしてねえよ。告白ついでに、ちょっと抱きしめたってだけ」
「そんで、嫌がられてひっぱたかれて鼻血ブーってとこ?」
「まあ、ご想像におまかせします」
近江は眉を吊り上げたけど、それ以上は追求してこなかった。
「ところで、ついさっき緊急に決まったことなんだけど」
「ああ、はい?」と俺はつっぺをとり替えながら言った。
「これからあたしとあんたで交互にゆいちゃんとデートするっていうのはどう? 期限は中学を卒業するまで。もちろんドローっていう結果もありっていう前提なんだけど」
「あいつ、本当にそれ、承知したのか?」
半信半疑で聞き返した。よく『なんであたしが南蛮漬けなんかとデートしなきゃいけないのよ』とか言わなかったもんだと思う。
「さてね。でもべつに即座に嫌とは言わなかったわよ。あたしはそれが一番フェアな方法だと思うんだけど、どう?」
「まあ、あいつさえそれでいいんなら……」
「じゃあ決まりね。まずは先攻と後攻決めましょう。さあ、ジャンケン!」
──ポン!
俺がだしたのはチョキで、近江がだしたのはパーだった。でも正直いって、勝ってもあまり嬉しいとは言えない。あまりにも展開が強引すぎるような気がして、落とし穴がすぐ目の前にありそうな、そんな予感がする。
「まあ、せいぜいがんばるのね」
近江は余裕しゃくしゃく顔で去っていき、あとには首の後ろをとんとん叩く、間抜けな鼻血ブー男だけが視聴覚室には残されたのだった。