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〜青潟大学附属シリーズ・二次創作小説〜
芙蓉 雅作
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デエト、デート、デエトだ、デート♪
俺は心の中でスキップしながら、霧島との待ち合わせ場所へと急いだ。駅前で待ち合わせて、そのあと映画みて食事ってところか。おお、いたいた。男よりも早く来るとは感心感心。
「映画って、何みるの?」
霧島の奴はいつものように不機嫌顔だ。まあべつに構いはしない。
「知りあいに、映画関係の仕事してる人がいてさ。タダ券二枚もらったんだ。全国共通でどの映画見てもただってやつ。だから霧島の好きなやつでいいよ」
「ふうん」と、霧島は何故か顎をとんがらせている。ああ、そうか。こいつ俺のこと、大っ嫌いなんだっけ。
「しかし、それにしてもおまえ、よくここにきたな。『なんであたしがあんたなんかと……』ってそんな感じですっぽかされるかと思ったぜ」
「それはお互いさまでしょ。それよか早くいかないと映画はじまっちゃうんじゃないの? もうすぐ一時よ」
俺と霧島は、今きている映画のことを話しあいながら、最終的にアクション系のものを見てスカッとしようということになった。
「あんたとは、死んでも恋愛映画なんか見たくない」んだってさ。ああ、そうですか。ハイハイってとこだ。
映画館に入った時、その映画はすでに始まっていた。『香港ハイウェイ』──中国の山奥に住んでいたカンフーの達人が、都会へ出てきて悪い奴らをやっつける、というような内容の映画だった。
霧島の奴はリスがどんぐりの実をカリカリやるみたいに、ひたすらポップコーンを頬ばっていたっけ。いかにも<見たくもない映画を、義理で見ているの図>って感じだ。べつに、いいけどさ。映画のほうもまあまあ、面白かったし。
「思ったよりも結構、面白かったよな。俺、本当は大して期待してなかったんだけど」
「そうね」霧島の奴は、今度はチーズバーガーに噛りついている。映画館をでると同時、腹が減ったと言うので、すぐ隣のファーストフード店へと入ることにしたのだ。ちなみに俺のはチキンカツサンド。
「今さらこんなこと聞くのもなんだけど、あんた一体どういうつもりなわけ? 気の合わない女といて、とても楽しいとは思えないんだけど」
「おまえさあ」コーラのストローをくわえながら、俺は言った。
「なんでそう決めつけるわけ? 気が合わないとか楽しくないとか。べつに、なんとなく一緒にいて映画見てメシ食って、それだけでもいいじゃねえか」
「ふうん。男ってそんなもんなの」
「さあな。他の奴はどうか知らないけど、俺はこれで悪くないって、そう思うぜ」
「ふうん……」
霧島の奴は暫く押し黙ると、じっとポテトを睨んでいた。何か恨みでもあるかのように。
「あんた、あたしのこと好きって、あれ本当なわけ?」霧島はぽいっと、ポテトを口の中に放りながら言った。「具体的にあたしのどこが好きなのか、言ってみてよ」
「どこっていわれてもなあ……まあ全体性ってやつだよ。特にこことこことか、うまく表現することはできないな」
「ふうん。でもあんた、あたしの過去のこととか根掘り葉掘り調べたじゃないよ。普通そこまでする? それに、そこまでわかったら、普通は軽蔑するんじゃないの? 千年の恋も真っ青って感じで」
「まあ、普通はそうかもな。でも俺は普通じゃなかった。ただそれだけのことだろ」 俺と霧島はそのあと、食事が終わるまでお互い黙りこくったまんまだった。なんでなのかは折れにもよくわからない。それで、店が混んできたということもあって、そそくさとトレイを下げて外にでることにした。
「あんた、今お金いくらもってんの?」
俺はハーフコートのポケットに手をつっこむと、そこから札入れをとりだした。ひいふうみい……漱石さんが四枚に、だら銭が少々ってとこだ。
「あたし今、三千円しか持ってないんだけど、これでホテルとかに入れるの?」
「おい、おまえ……それって」
「べつに、無理にとは言わないけどね。好きっていうのはようするに、そういうことでしょ? あたし、やるべきことはさっさと終わらせたい性格なの」
──冗談だろ?
俺は眼差しであいつにそう訴えかけたけど、どうやらあいつは本気のようだった。ラブホテル街のあるほうへと、ひとりですたすた歩いていく。