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〜青潟大学附属シリーズ・二次創作小説〜
芙蓉 雅作
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15
──御休憩三千円か。
あたしは童話にでもでてきそうな、白い塔の形をしたホテルの中へ入り、フロントにある値段表というものを見上げた。フロントの前には白い塔の模型と見取り図があり、今空いている部屋が明るく輝いて示されている。
「あんた、どこの部屋がいいの?」
難波の奴はひとりびびりまくっている様子。補導されたらどうしようとでも思っているんだろうか。
「べつに、どこでもいいよ」
「それじゃあねえ……」
あたしは二階の、一番奥まったところにある部屋を選んだ。特に深い意味はないけど、あんまり手間どってフロントの人にあやしまれたくないと思った。
「ごゆっくりどうぞ」
鍵を受けとると、あたしと難波はエレベーターで二階へと上がった。ちょうど、真ん中らへんの部屋から、一組のカップルがでてくるところだった。いかにも地味なおっさんと、若い女のカップル。なんか粘っこい。やらしい匂いがする感じ。あたしもいつか、あんなふうになったりするんだろうか?
室内には、中央に大きな白いダブルベットがあった。壁はクリーム色。あとはTVとビデオと冷蔵庫があるだけっていう部屋。カーテンがひらひらのピンク色っていうのが、なんともそれっぽくてやらしい感じ。
「おまえ、いいのかよ、こんな……」
見るからに金玉が縮み上がってるっていう様子の難波。だったらもっと早くに男らしく止めろってのよ。
「べつに、あたしはいいわよ。あんたさえよければね」
「俺は……正直いってちょっと、よくわかんねえ。もちろん正常な男として御体験したいっていう気持ちはある。でもおまえだって……べつに、まだこういう経験あるってわけじゃないんだろ」
「よく言うわよ。あんたのせいであたし、今も時々変な手紙もらったりすんのよ。ラブレターみたいなハートマークのついた封筒が下駄箱の中に入ってて、開けたらなんて書いてあったと思う? ヤリマンだのサセ子だの一発やらせろだの……ほんと、男って馬鹿ばっかりでうんざりするわ」
「だったら……」
もっと自分のことを大切にしろよ、と言いかけて、俺は口を噤んだ。もしかして俺は金八なのかと一瞬思った。髪を耳にかける仕種をしながらそう言っても、とても受けるとは思えない。
「まあその、今日は社会見学ってことでさ、ちょっと時間をつぶしてるってことにしようぜ。もっとその、なんていうかこう……お互いの精神的な関係が深まってからっていうのか? 第一俺ら、帰すなんてのもまだしてねえわけだし」
「案外、意気地がないのね」
あたしはドサリとショルダーバックを置くと、Pコートを脱いでさっさとバスルームへ入ることにした。べつに本気で南蛮漬けとやりたいとか、そんなふうに思っているわけではない。ただこれであいつの、男としての度量を測りたいというただそれだけだった。