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〜青潟大学附属シリーズ・二次創作小説〜
芙蓉 雅作
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「じゃあ、本当に何もなかったのね!?」
来週の日曜日といわず、今日の放課後デートしましょうと紡に言われて、あたしはアルベルチーヌという喫茶店にきていた。どうもその手系の人たちが集う喫茶店とのことだったけど……。
「自分でもね、なんかよくわかんないんだ。今にして思うとなんであんなことしたのかなあって。ただ単にあいつがどういう反応するか見たかったっていうのが一番大きいけど。いざとなったら金玉蹴り上げて逃げればいいやって思ってたし」
「なんにしても、何もなくってよかったわ」
紡はチョコレートパフェをすくうと、それをあたしの口許まで持ってきた。なんだかなあと思いつつも、ぱくりとたべてしまうわたし。うん、とっても美味しい。
「で、どうだったの?」
「どうって?」
ひとつのパフェを隣あって一緒に食べながら、あたしたちは会話した。
「つまり、難波くんの反応よ。もう鼻の穴ふくらませて格好わるいったらなかったとか、よだれ垂らしそうなくらいでれでれしてたとか……いろいろあるでしょう? そういうことよ」
「うーん……まあ結構まともだったわね、あいつ。もうちょっとオドオドしたり、鼻血出したりするかと思ったけど……あれから全然一言もしゃべってないし。こいつ、本物のヤリマンだとか、そんなふうに思ったのかもね」
それならそれで、それまでのことよ、と思いながらあたしは、ポッキ―をパキッと食べた。
「どうかしらねえ。あたしの目には、何か鬼気迫るものがあったけど。絶対にこいつは俺のものだって目で、霧島さんのことを見たあと、あたしのこと睨んでたし」
「ほんとに?」
あたしはおかしくなって、思わず声を上げて笑った。べつにそうであっても、そうじゃなかったとしても、どちらでもよかった。あいつの心を翻弄してやることさえできればそれでいいのだ。多少、これまでの復讐の意味もこめて。
「ところで……ゆいちゃん。難波くんとホテルいったってことは、あたしともいってくれるってことよね? もちろんそれは」
「え!? ええっと……」 思わず声が裏返りそうになった。
「冗談よ。でも、そんな目で見られるとちょっと傷ついちゃうな。べつにあたし、ゆいちゃんといっぱいやらしいことしたいって思ってるとか、そういうのじゃないのよ? もちろん、多少はそれもあるけど……なんていうのかな。あたし、自分が好きになった人の、一番汚いところに触りたいっていつも思ってるの。そこを清めるようになめたり触ったりしたら、それが本当の愛なんじゃないかって、そんなふうに思うのね。でも相手の同意なしでそれやっちゃうと、ただの自己満足にしかならないわけだし……あたしの言ってること、わかる?」
「う、うん。でもちょっとびっくりした。大人なんだね、紡って。考え方が」
そうでもないわ、と何故か紡は寂しげに微笑んでいる。
「まあ、なんにしてもちょっと悔しいな。これまではあたしのほうが俄然有利っていうか、十歩以上はリードしてるだろうって思ってたから。たった一回のデートでそこまでやるなんて、意外に侮れないわね、南蛮漬けも」
いや、ちょっと、それは違うと思う……と思いつつ、あたしは押し黙った。紡が、クリームをすくって口許まで持ってきたからだった。