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〜青潟大学附属シリーズ・二次創作小説〜
芙蓉 雅作
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「ねえ美里、あたしあんたに相談があるんだけど」
 ゆいちゃんが相談なんて珍しいな、なんて思いつつ、あたしはコードレスホンを耳にぴたりと当てた。空いたほうの手で、隣の妹の部屋との境界線をぴったり閉める。
「どうしたの? 気のせいかもしれないけど、今日ゆいちゃん元気なかったでしょ。もしかして南雲くんのこと?」
 どんぴしゃだったのだろうか。暫く、沈黙が続いた。
「ううん、違うの。ファッションショーなんて全然大したことじゃないのよ。あんなのただ、新しい制服着て、ちょっとみんなの前でポーズとればいいだけだもん。南雲くんだってあたしのこと、モデルのお人形さんくらいにしか思ってないよ、たぶん。仮に肩を抱くようなポーズとかとったとしても」
「うん、南雲くんはとにかく彰子ちゃん一筋だから……じゃあ、そのことじゃなくって別の悩みごとか何か?」
「そうなの。実は近江さんのことなんだけど……」
 そのあと、ゆいちゃんの話を一方的に二十分くらい聞いて、あたしはびっくり仰天した。男と女の両方から同時に告白されたっていうのも凄いけど、それよりも何より……。
「じゃあ、ゆいちゃんが今日元気なかったのは、近江さんのせいなのね?」
「近江さんのせいっていうか……どうしよう、美里。あたし、やっぱりどこかおかしいのかな。近江さんと一緒にいるだけで、物凄く苦しいっていうか、胸がどきどきするの。きのうなんか、変な夢見ちゃった。下着姿の近江さんが迫ってくるんだけど、時分のはいてるパンツがくまさんのバックプリントなの思いだして、彼女にそんな子供っぽいパンツ、恥ずかしくて見せられないっていう夢なの。それで、本当は服なんか脱いでも全然構わないんだけど、こんな日に限ってどうして大人っぽい下着つけてないんだろうって後悔してるの。どうしよう、美里。あたし、絶対変だよね、こんなの」
「ええっとね、ゆいちゃん」あたしは動揺の極地にいるゆいちゃんにかわって、色々なことを整理して考えようと思った。「近江さんのことは一旦脇に置いとくとして、難波くんのことはどう思ってるの?」
「難波?」突然、ゆいちゃんの声色が険しいものになる。「あんな奴、馬か牛と一緒にうんこでもしてればいいのよ。告白なんていっても、べつにあたし、あいつに直接好きとか言われたわけじゃないもん。近江さんに比べたらあんな奴、鹿かロバのフンよ」
「……ようするに、てんで話にならないってこと?」
「そのとーり! 大体あんな男尊女卑な奴とつきあってごらんなさいよ。三つ指ついてお出迎えとか、結婚もしないうちからやらされるに決まってるじゃない。それに、もしかしたらこれはあいつの巧妙な罠かもしれないわ。さりげなく間接的に告白しといて、下手にこっちが返事したら、あとから笑いものにするつもりなのよ」
「流石にそれは考えすぎじゃあ……」
「美里はあいつの本性がわかってないのよ! いい? よく聞いて。もしこれであたしがそっちがその気ならつきあってもいいって言ったとするわよね? そしたらあいつ、絶対『なんのことだ?』って、澄ました態度をとると思うの。そんでもって逆にごめんなさいって言ったとするわよね? そしたら今度は『なに勘違いしてるんだ、この自惚れ屋』と呵々大笑するつもりなのよ!」  呵々大笑……よくそんな言葉知ってるなあ、ゆいちゃん、と一瞬感心してしまうけど、今はそれどころじゃない。
「えっとでも……もしも、もし仮によ? 近江さんの言うとおり、難波くんが好きな女の子めくりをするような心理で、ゆいちゃんのことを本気で好きだったとしたら?」
「そんなこと、ずええったいにありえっこないわ!」
 めちゃめちゃハイテンションなまま、ガッチャリと電話が切れる。なんというか、いつも通りのゆいちゃんに戻ったという意味では、これでよかった……のかな???と、あたしは数秒の間、コードレスホンを片手に、首を傾げた。



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