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〜青潟大学附属シリーズ・二次創作小説〜
芙蓉 雅作
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 やれやれ。一体どうなってるんだ。
 評議委員会内における、恋愛関係の乱れ……などと言うつもりはないけれど、それでも。
 天羽と更科が事の全部を知ったあとで、事後承諾のような形で話を聞かされるのは、なんとなくつらいものがある。
『立村くん、これ、絶対秘密ね。そんでもってさりげなく、難波くんに本心を聞いてみてほしいんだけど』
 ──本心なんか、聞くまでもない。難波は霧島さんに本気でホの字なのだ。ただまさか、そこに近江さんが絡んでこようとは……流石に僕も思わなかったけど。 「で、一体どうなってるんだ?」
 視聴覚教室の準備室に、評議委員の三人を召集した。鍵は先生から、適当に口実つけて借りた。いつものことだ。
「どうなってるって言っても……」ごにょごにょと更科が口ごもる。
「うーん、そうだなあ。どうなってるんだ? 難波?」
 天羽が準備室にある器材をいじりながら、隣の難波のことをつつく。
「そんなこと言ったってしゃあねえよ。近江と霧島ユリの世界、以上ってとこだ」
「ユリって……」思わず笑いそうになるけど、こらえる。「でも、難波はそれでいいのか? 霧島さんと近江さんがそういう関係になっても?」
「さあな」と拗ねたように肩を竦める難波。
「あーあ、素直じゃないんだから。本当は脳味噌、醤油と砂糖とタバスコでぐるぐるのくせに」  更科がため息を吐きながら言う。
「キリコ、マジでユリの世界に突っ走っちゃうかもしんないぜ。これまでがこれまでだっただけにさ。あいつ、結構極端から極端まで突っ走る奴だからなあ。『わたしと近江さんは女同士だけど、それのどこがいけないのよ』とか、みんなの前で公表したりとかさ。やっちゃいそうだよな、マジで」
 それは言えてる、と僕も思ったが、まずは清坂氏から言われたとおり、改めて難波自身の意思を確認することにする。
「その、ちょっと清坂氏から聞いたんだけど、難波が霧島さんに告白したっていうの、本当なのか?」
 難波の顔が、みるみる耳まで真っ赤になる。
「僕もそこのところ、よくわからないけど、なんか霧島さん、すっかり誤解してるみたいなんだ。なんていうか、難波が巧妙な策略によって告白したっていうのかな。つまり、難波に対して『イエスと言おうとノーと言おうと、どっちにしても自分のことを嘲笑うつもりだ』って、そんな風に思ってるらしいんだ」
 天羽と更科が顔を見合わせ、ブッと吹きだす。ほとんどゆでダコみたいに、難波は真っ赤ッ赤になっている。
「キリコらしいっていうかなあ」
 更科、すっかりツボにはまってしまったらしい。壁までどんどん叩いて笑い転げている。
「難波、せっかく告白した意味ないじゃん」と天羽が慰めるように難波の肩を叩く。
「うるせえ」ぷいっと横を向く難波。
「あのさ、難波きちんと霧島さんに好きだって言ったわけじゃないんだろ。ただ単に、近江さんと自分、どっちを選ぶかって間接的に伝えただけなんじゃないのか? それだったら誤解されても無理ないよ。もし、本当に霧島さんのことが好きなんだったら……協力するよ。明日の放課後にでも、清坂氏に霧島さんをここに呼んでもらう。それで、あとはふたりっきりで話しあえばいいさ」
「そううまくいくかなあ」
 更科が人ごとのように、両手を頭のうしろにまわす。天羽は励ますように難波の背中を叩くのみだ。そして僕は……。
「これ、青大附中のマスターキィ。これ一本でどこの部屋でも開くようになってるんだ。これ使って明日、ここの部屋でも他の部屋でも、どこか好きなところで、霧島さんに告白するといいよ」
 おまえ、なんでそんなもの持ってるんだ、という目で三人が僕のことを同時に見上げる。
「本条先輩からもらったんだ。代々評議委員長に受け継がれてるものらしいけど……でも一応なるべく職員室から鍵を借りるようにしてるんだ。何かあって、あやしまれたりしたら困るしな」
 


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