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〜青潟大学附属シリーズ・二次創作小説〜
芙蓉 雅作
■──9──■



  


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『清坂氏が、四時ごろ視聴覚室に霧島さんを呼んでくれたから……まあ、あとはふたりっきりでなんとかがんばってくれ』
「なんとかがんばれって……何をどうがんばれってんだよ」
 俺はTVやビデオ、また音声を調節する機械などが置かれた狭い準備室で、霧島がくるのを待った。正直いって、心臓がどきどきする。俺は鼻の粘膜が弱いせいか、上せるとすぐに鼻血がでてしまう。『好き』とか言った瞬間に、鼻血タラ―なんてことにならなければいいが。
「一体、なんの用なわけ?」
 突然、ドアが開いてびっくりした。防音効果のある壁のせいか、足音がまるで聞こえなかった。
「お、おう」
 俺はとりあえず、あいつに椅子を勧めた。霧島の奴はふん、と鼻を鳴らすのみ。可愛くない。ちょっとムッときた。
「話っていうのは他でもない。この間のことだ」
「この間のことって?」
 リスみたいな目を、霧島はきょとんとさせている。
「つまりだ、そのう……近江と俺、どっちを選ぶかってことだ」
「あんた、一体なに言ってんの? まさかとは思うけど、あたしのことが好きとかってわけじゃないんでしょ?」
「おう。そのまさかだ」
 やばい、緊張しすぎて鼻血がでそうだと思った俺は、少し上向きかげんになった。腰に手を当ててふんぞり返っているあいつと、ばっちり目が合う。
「あんた、これまでさんざん、あたしのこと馬鹿にしてたじゃないのよ。その上、何かにつけては突っ掛かってきて……いいかげん、やめてくれない? 仮にあたしとあんたがつきあったとしても月とスッポンで、うまくいくわけがないじゃないの」
 おまえが月で俺がスッポンかよ、とも思うが、ここはぐっとこらえる。
「おまえ、本気で百合になる気なのか?」
「べつにいいじゃないよ。百合だって薔薇だって。愛さえあれば、秘密の花園よ」
 いまひとつ意味がよくわからんが、まあいい。ここは無視する。
「おまえがよくても、俺がよくないんだよ、この鳥頭。いいかげん気づけよ、俺が本気だってこと」
 俺は、パイプ椅子から立ち上がると、霧島に近づいた。あいつは二三歩後退さるけど、そこは男女の力の差。逃がすつもりはなかった。あいつのことをぎゅっと抱きしめる──ほんのりと微かに、石鹸の匂いがした。



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